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革命のお話。といっても革命そのものではなく、失敗に終わった革命の数年後、すっかり落ちぶれた二人のリーダーがある居酒屋で再会し、再び立ち上がるまでのお話。
個人的に信頼を失う事の恐ろしさを痛感していた時期で、失った信頼を取り戻すために奮闘する主人公たちには、自分のそういう気分が反映されていたのかもしれません。
劇中の居酒屋は「大根の煮物」が名物で、実際に舞台上で日々大根を煮込み続けていた。全公演の終了後、皆で食べた大根は非常に味が染みて美味でした。

公演告知用フライア(このネギを構えた姿が、本編中の重要なw伏線だったのでした)

公演パンフレット(ご挨拶)
『何千、何万の、お互いに名前も知らない人々が街をうめつくし、握手をし、手をたたいて同じ歌を歌いながら歩いていた』
映画や小説の世界の話ではなく、僕(司令)がちょうど一年前に実際に目撃した風景の話です。それは、去年のサッカー日韓ワールドカップで、日本がロシアを相手に初めての勝利を飾った時の事で、根っからのやじうまである僕は、目黒の酒場で試合を見届けたあと、友人と連れ立って渋谷の町に出かけ、テレビなどでも大々的に報道されていた『祭り』のまん中へ突入しました。巨大なスクランブル交差点の信号が青に変わるたび、人の波がひたすらハイタッチをくり返す光景は、人との距離を常に気にして、「空気を読まなきゃ」生きて行けないこの国に暮らす事に慣れ果てたこの身には、革命的な光景でした。
「フラワーズ」を書く出発点となったのは、一年前のあの光景です。
次の日には、センター街を歩いてもあの革命は煙りのように消えてしまっていてあとかたもありませんでした。昨日の解放が嘘のように、渋谷の民はどこか諦めたまなざしで街を歩いていて、たとえば握手の手を差し出した所で決してそれを握り返される事はないであろう暗黙の了解が、そして、例えば自意識で武装すること、そして周りの空気を読み続けること、そういうルールの最先端を象徴する街角が、いつまでも続くばかりでした。僕は前日の酒が残る脳みその痛みに顔をしかめながら、ぼんやりとそんな当たり前の街角を眺めていました。
革命というか、永遠の祭りなんてありえない事を悟っている誰かと、祭りを忘れられない「空気が読めない」誰か。そんな二人の別れと再会を書いてみようと、その時僕はそんな事を考えていたのです。(司令)

A11「フラワーズ」搭乗クルー

●CAST■根津茂尚(若大将/ブルー)、矢神誠二(レッド)、桜田一休(聖さん)、伯美乃里(イッコ)、坂田昇子(レイ子/モスグリーン)、木下伸也(佐々木さん)、八巻新(仁ちゃん)、吉田和美(岸田さん/プロポーズマン)、後藤聡(鈴鹿くん)

A11「フラワーズ」公演の記録
●会場/ウエストエンドスタジオ(中野)
●期間/2003年5/30(金)〜6/1(日)
●STAFF■作・演出/川田昌史 ■衣装/nappu ■制作/石井貴視 ■音響/T.K.Blackwood ■照明/溝上邦子(マイライト)■舞台美術・舞台監督/すずきしんや■媒体デザイン/スターライトファクトリー

※「パラノイア」から8ヶ月の充電を経て、ウエストエンドスタジオに戻って来て作り上げた新作。「花と咲くより踏まれて生きる 草の心が俺は好き ラララー」なんて歌が良く似合う、ダメっぽい人々がつどう一軒のみすぼらしい居酒屋がおはなしの舞台でした。もうすでに確実に「踏まれる人生」に足を踏み入れつつある俺たちアポロクルーには格好の舞台だったと言えるでしょう。



※今まで自前で作ってきたセットを、今回の公演ではほぼ外注。すずきしんやさんが作り上げた居酒屋「まどろみ」のセット

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